居待月夜と桜の木

作詞、作曲 / 16
振り向いたあなたを伝い 揺れ落ちる桜色
花冷えの風に惑い 寄り添って 別れて 舞い積もる春の名残

星の瞬く夜は 風鳴りだけを聴いて 静かにあなたを想う
眠れない気持ち抱え 切なく過ごす日々に 時に雨粒を降らせて

胸に秘めた言葉を幾つ堪えたろう? 伸ばした腕を何度引いたの?
寒い冬が終わる 雪は溶け出す 伝えたいよ 触れてたいよ いつだって

見つめては想い廻らせ ため息を繰り返す
あなたに聞こえないように 呟くの 「好きだよ」 それだけで胸が詰まるの

二人出会った頃に 見上げた桜の木は 今年も鮮やかに咲いた
そっとあなたの声を 想い返してみるよ 今もまだ暖かい

冷えた星空に昇る居待月 淡色の花を照らすよ
強く吹く風はあの日と同じ 変わらないよ この想いも 今でも

姿失くして散る花は 一片も掴めずに 紛れ消えいくだけなの?
残るのは 微かに 舞い上がる春の香り

待ち焦がれ失くすなら いっそ壊れていい ただ散りゆくなんて苦しいよ
二度と元の花に 戻れなくても 構わないよ
桜の下、歩く背中、呼び止めて、ただ素直に、声にするよ
「・・・好きだよ」

振り向いたあなたを伝い 揺れ落ちる桜色
花嵐受けて二人 寄り添って 重なって
少しずつ明けていく空 昨日より 僅かに 暖かい 春の光